『芸工展2012』参加企画 & ブラム・ストーカー没後100年
吸血鬼&ハロウィン展

ナイトメア・イン・ハロウィン

一ヶ月の会期に渡り、たくさんのお客様にご好評いただいた今展示。
出展作家さんの作品や、会場の様子をご紹介させていただきます!

『Halloween Orchestra』 / asukaoru,

 

ハロウィンのオバケと仮面の楽士たちが演奏するハロウィン・オーケストラ!
綺麗な色合いと、楽しげなキャラクターたちが魅力的です。
かわいいオバケキャラのステッカーも販売して下さいました。

asukaoru,さんはナイトメア・イン・ハロウィン展に続き、個展も開催されました!
> 個展の様子はこちら


キャラたちのアップ

かわいいオバケステッカー★

『ヴァンピール2012』など / 五十嵐わなを

 

『ヴァンピール2012』(左)
『See This Through and Leave』(下左)
『Umber』(下右)

執拗に、塗り込めるように書き込まれたペン画。
画面を覆う線が、いつしか一つの(あるいは無数の)生物のように蠢いて感じられます。
音か、感情か、この世にあって見えないものを見ているような不思議な絵でした。

ちなみに、作者の五十嵐さんは幻からほど近い『町人』というお店チーママさんです。町人さんへもぜひどうぞ!

『正義』 『群衆』 / 石木あや

 

『正義』(左)
宗教画を思わせるアクリル画。悪竜を打ち倒す大天使ミカエルでしょうか。
優しさと逞しさを同時に思わせる天使の表情。彩色も柔らかみがあって美しく、素朴ながらも力強く伝わる民間信仰のような、温かみと聖らかさを感じました。

『群集』(右)
ボールペンで無数に描きこまれたシンプルな形の人、人、人。
歓喜、嘲笑、嫉妬、諦め、狂気。様々な顔が見えます。可愛らしい少女がいたかと思えば、吠え立てる犬、釘刺された人形、恐ろしい形をした何ものか、なども。細部を丹念に見つめることで、社会を生きる群集か、作者の心か、あるいは鑑賞している自分自身の内面か――普段目を逸らしている何かの奥底を、のぞき見ている気分に。


天使の表情

魔女?らしき人物も

『ハロウィン イタリョーシカ』 / italo

 

ハロウィン登場人物たちのマトリョーシカ。
一番大きいのは、三角帽子の魔女。
二番目は吸血鬼。血を禁じられてトマトジュースの入ったグラスを手にしています。トマトではやっぱり不満そうな表情。
三番目はナース、鉄分と注射器を手に、吸血鬼が血を吸わないよう監視しています。
四番目は可愛いベロ出し蝙蝠。
一番小さな子供は、お菓子を手にし、背中側には可愛い骸骨が描かれています。

開けるたびに、ストーリーが広がる可愛い作品でした!


不満気な顔の吸血鬼

厳しいナースさん

『美味しい華が咲いていた』 / イトウカズシ

 

おそらくは耳。そして手。そこまでは見える。あとは美しいグリーンと、どこか不穏な雰囲気。

“ぷつり
 くちゅ
 ぐびり
 ごくん”

キャプションに書かれた言葉。そしてタイトル。
ミニマルゆえに、想像を刺激します。
どこまで想像して良いのか、何を見ているのか。 不思議な作品を前に、問答を重ねました。


耳?

謎の言葉

『鏡の魔女』 / 卯月沙梨音

 

鏡に映る魔女は作家のセルフポートレイト。

伸ばした両腕からは二つの林檎がひもに吊り下がる。赤い林檎には天使の自分。黒い林檎には悪魔の自分。ハロウィンには「ひもに吊した林檎や、水に浮かべた林檎を、手を使わずに口だけで取る」という風習があります。魔女は、天使か悪魔かいずれかの林檎を取るように示しているのかもしれません。

腕と林檎を繋ぐのは、両手に握った二本の鍵。二つの林檎を開き、閉ざす力を、その手に掴んでいるのでしょうか。そして、鏡には見ている人自身が映るものです。その鍵を握っているのは、鑑賞者自身かもしれません。

写真、額、花などが一体となって一つの世界をなす、半立体の力作です。


鏡の中の魔女

林檎の中の画像を撮り忘れ
ました、すみません…

『生首少女BOX』など / 鏡カノン

 

『生首少女BOX』(下左)
詰め込まれた箱の中から、こちらを見て微笑む少女の生首。このお人形にはボディとドレスも作られており、セットで買うこともできるようになっていました。

『包帯マカロンうさぎ』(下中央)
包帯でぐるぐる巻かれながらも、バッテンの目で微笑むうさぎ。その可愛さで人気者に!

『トリッキィブルーヴァンパイア』(下右)
ランタンの中に閉じ込められた、小さな妖精のような吸血鬼。生首少女もこのヴァンパイアも、作者のカノンさんに似た艶かしくも素敵なお顔です。

その他、『腕入りビン』や『めだまかろん』など、コワ可愛いスイーツグッズも所狭しと並んだ充実内容。作者の鏡カノンさんは、過剰装飾音楽ユニット「鏡家」として音楽面でも活躍なさっています。


生首の微笑

☓ ☓

流し目キラリ

棺桶トレイなど / 鏡野みづは

 

エレガント&ゴシックな棺桶型のボックスやトレイ。
レースや細部の作りが丁寧で、アクセサリーや人形を置くととても素敵に演出してくれそうです。

作者の鏡野さんは、小説『吸血鬼ドラキュラ』の舞台となった英国の町へ旅するほどのヴァンパイア好き。いろいろと興味深いお話も伺えました。


トレイにあしらわれた
レースや十字

棺桶型BOXの細部

『ヴァンパイア』など / くろあめ

 

可愛らしいイラストレーション作品を展示していただきました。

『ヴァンパイア』(下左)
棺桶らしきところから現れる少女。チューブのようなものを口にくわえ、血を吸っているのでしょうか。手に十字架をもつ姿から、ヴァンパイアハンターのような勇ましさも伺えます。

切手風のシールなどもご用意いただき、そちらのイラストも悪魔の少女など、素敵なものでした。


ヴァンパイア

グッズもいろいろ

『ヴァンパイア・プリンセスの冒険』 / ごごみそ

 

平面に描かれたイラストを立体的に重ね、さらにデコレーションで彩ったボックスアート。

鮮やかな色彩感覚とデザインセンス。過度に可愛く、過剰にポップ。
文字通り平面的(スーパーフラット)な板としてのイラストレーションを、現代女子のファッション感覚でフラットなままに立体化した、2.5次元的、最前線ジャパニーズ・ポップ・カルチャーの世界!


恐ろしい?狼男

吸血鬼のお姫様

キャプションに書かれた言葉から、ストーリーの想像が膨らみます!

『ベビィスタイ』など / こばめ金魚

 

可愛くて派手な柄で作られた、布小物たち!

『ベビィスタイ(赤ちゃんのよだれかけ)』は「蜘蛛の巣」や「不思議の国のアリス」など、他にはなかなか無い柄や色合いがいろいろ! 誕生祝いやプレゼントに最適です。

髪ゴムなどのアクセサリーも素敵です!


レトロ柄の髪ゴム★

蜘蛛の巣柄のよだれかけ!?

『CULALA』など / さんがっつ(いちみや忠義)

 

『CULALA』(下左)
棚の天板から逆さにぶら下がるという素敵な展示方法! とても見事なアイディアに脱帽でした。三色のセクシーかつ可愛い吸血鬼たち。背景の壁面までハロウィン風の壁紙で、ひとつの素敵な世界になっていました。

『ぶよぶよハロウィン』(下中央)
妖怪ぶよぶよのハロウィンカラーバージョン。かぼちゃパイみたいな色合いで何だか美味しそう!?

『たんころりん』(下右)
柿の実を採らずに放置しておくと現れるという妖怪。赤く熟した頭の日本版ジャック・オ・ランタン? 可愛くて、妖怪を知らないお客様にも人気でした。


蝙蝠のようにぶら~ん

キョロっとした目

ちっちゃい歯

『魔法のゼリーのネックレス』など / シャロットの乙女-Lady Of Shalott-

 

スイーツでデコレーションされた乙女なアクセサリーたち。
スプーンなどの小物使いも素敵で、女性に大好評!

カボチャやおばけキノコなど、ハロウィンや季節を感じるものも豊富。『お月見マカロンの指輪』や『チョコレートとベリーのマシュマロのネックレス』など名前まで可愛らしいものばかり。出展作家さんの間でも、欲しい方が続出するほどでした。

無題 / 神宮巫仔

 

写真。
暗闇にすっと立つ半裸の男性。その目は強く何かを見つめているようですが、こちらを見てはいません。
その背後に、覆面の人物。物言わぬ二つの穴から、じっとこちらを見透かしているようです。

作品に対峙すると、恐ろしいような魅了されるような、不思議な気持ちになりました。感想や説明を禁じられたような、ただあるだけで完成している写真でした。素晴らしかったです。
もっと多く作品を見てみたいと思いました。


――見られている。

『逆十字』『唐草』 / 蒼々

 

逆十字型の銀のアクセサリー。
細部まで緻密で重厚感・高級感のある作品でした。

追加で、蝙蝠の翼が生えた薔薇のピアスも納品してくださいました。そちらのデザインもとても素敵でしたが、残念ながら写真が無く、すみません!


逆十字に咲く薔薇

BOXも豪華!

『虫使いの魔女』 / 幸屋

 

細かく切り込まれた、紙のモビール。
横笛を吹く魔女の姿。その足元に複雑に重なり合う無数の蝶たち。

店内では温度差のためか気流が生じて、時折ゆっくりと回転しており、壁に写った影も美しく変化を続けていました。
光と影を操って空間そのものを変えてしまうような、素敵な作品でした。


複雑な蝶の文様

影も作品の一部となる美!

『魔法少女風にゃんこ』など / 茶柱立太

 

『魔法少女風にゃんこ』(下左)
星のマジカルステッキを持った黒猫ちゃん。クイッと曲がった後ろ足がに惚れます。

『ハロウィン盛り』(下中)
吸血鬼、ミイラ男、ジャック・オ・ランタンに幽霊と、モンスターの豪華盛合せ。どれも愛らしい表情で、ハロウィン以外の季節にも一年中飾っておきたい。

『イヴ…あるいは黒雪姫』(下右)
茶柱さんの作品では非常に珍しい(!)人間の少女が登場。枝に絡む蛇や林檎が物語を感じさせます。女性を見上げるかぼちゃ少年が何だか健気。


魔法少女風にゃんこ

ハロウィン盛り

イヴ…あるいは黒雪姫

『魔女になった女王』 / Deora

 

写真作品。
作家は作品内の人物に扮し、撮影は他者による。

魔女であり、女王である女性。
万聖節の前夜、ハロウィン・オレンジの光に包まれながら、自ら冠を脱ぎ魔女へと姿を変えるのか――

『ドラキュラガマ口』など / nattu;n

 

羊毛フェルトで可愛い作品をいっぱい出展してくれました!

ドクロクリップは、現在幻のカフェテーブルで活躍中!

作家のnattu;nさんは、11月23日(金)からアートギャルリ谷中ふらここさんにて初個展開催!


髑髏とカボチャのクリップ
カボチャにしがみつく猫!

ドラキュラの顔が
誠にいい味です

カボチャのストラップは
それぞれ違う顔!

目玉のハリ山
血管が細かくてリアル!
針先の目玉まで手作り

蝋燭ペットボトル入れ
たら~り垂れたロウと
蝙蝠の翼がついた大作!

『Wladislaus Drakulya』 / 薔薇十字団

 

木彫に彩色。オーナーの小林による作品です。
吸血鬼ドラキュラのモデルとなった「ヴラディスラウス・ドラクリヤ(ヴラド・ツェペシュ)」の肖像画を、象徴的モチーフと共にレリーフにしました。

東欧の教会に古く伝わるかのような雰囲気にするため、荒い彫りで仕上げてあります。
棺を囲むように彫られた文章は、ラテン語新約聖書より、ヨハネによる福音書「わが肉を食し、わが血を飲む人は永遠の生命を有す、しかして、われ終わりの日に、これを復活せしむべし」


ヴラドⅢ世の肖像

側部は赤で彩色しています

無題 / MACRO NOIR

 

ピンクブロンドの髪から、こちらに投げかけるような無垢な視線。
ふんわりとした白の衣装や華奢な体、何より幼い表情から感じる純真な少女性。しかし、胸に残る鮮血にハッとさせられ、口元をよく見れば小さな牙が。

吸血鬼の少女。
永遠の命を持つ彼女は、そもそも本当に少女であるのかさえ分かりません。そうして見ると、初めに感じたその無垢さや純真さのようなものは、むしろ吸血鬼であることの悲哀や超越性によるものだったのか、と気がつきました。


口元に覗く小さな牙

アクセサリーも好評でした

『L.』 / 麻子

 

人物を取り囲む、無数の手、手、手。細くうねる毛髪。とても細密な線と点描で描き込まれた、ペン画です。

口とひとつの手首とを、一本の紐が繋いでいます。それは赤い糸の契りのような、吸血鬼の血の契約を思わせます。
ワインレッドが美しい棺桶型のマットも、作品を一層美しく引き立てています。

この作品はオーナーの小林が個人的に購入させていただき、現在、幻の店内に飾らせていただいております。


繊細な髪と物憂げな眼差し

手首へと結ばれた紐

『VAMPIRE』 / Mammy

 

5枚組の写真。

純真に何かを訴えるような少女の眼差し。あるいは、美女の誘うような瞳。だが、いずれの口元にも、わずかに血の跡が見えている。

張り詰めた空気に似た色合いと緊張感のある構図が、隙のない世界を見せてくれます。
写真が十字に飾られた時、人ならぬ者の悲恋の物語を、その奥に見た気がします。


こちらのモデルは出展作家でもあるMACRO NOIRさん

美しいけれど、どこか儚さや悲しさを感じます

無題 / M†yuk†

 

ハロウィン・フラワーアレンジメント。

丸いリース自体が体になった、黒蜘蛛のリース(左)。
スクリームな顔が植物によって模られた、フラワーマスク(右)。

花というジャンルからは想像できないような独創的なデザインや、カラフル&ゴシックな色使いで、「フラワーアレンジメント」のイメージを良い意味で塗り替えてくれました!


装飾には「つけまつ毛」も!

アルチンボルド『四季』のように

『ハロウィンかぼちゃカレー』など / 艶子

 

今回、店長艶子さんは、作品ではなく特製ハロウィンメニューで頑張っていただきました!


紫芋のスイートポテトおばけ

ハロウィンかぼちゃシチュー

ティーセット(プチシュー)

ハロウィンパフェ

抹茶のモンスタープリン

総評

 

【ゴシック&ゆるかわハロウィン★】

ハロウィンお祭り企画ということで多数の作家様にご参加いただき、硬質な美術作品から可愛い雑貨まで、多様な作品が揃いました。
ハロウィンと言えども、恐怖、ゴシック、耽美のみに偏らず、可愛さとゆるさも兼ね備えた展示にできればと考えておりましたが、望んだ形に近いものが実現できたかと思います。
お客様もお子さんからご年配の紳士まで多数ご来店いただき、作品たちを見て、手にとっていただいたことを嬉しく思います。

ハロウィンパーティーを合計3回もしてしまいました!
狭い店内に入り切らないほどの大盛況。ありがとうございました!

ハロウィンパーティーに饗されたババロアケーキたち

頭をさっくりいかれています 「うぎゃー」

会期中、交際一周を迎えた素敵なお二人が、幻でお祝いを!
こんなオリジナルケーキをご用意させていただきました。
幻では、記念日やパーティー用にオリジナルケーキのご予約も承っております。

1か月、風雨に耐えて頑張ってくれたジャック・オ・マボロさんにも感謝

お越しいただいたお客様、ご参加いただいた作家様、そしてお力添えいただいた全ての皆様のお蔭で、素晴らしい作品たちとハロウィンを迎えることができました。本当にありがとうございました!
今後、さらに多くのお客様と作品を繋ぐ場になれるよう努め、来年もまた素敵なハロウィンを迎えられたらと思います。

最後に、吸血鬼ドラキュラを生み出した偉大なる人物の没後100年に際し、ブラム・ストーカー御大に感謝と哀悼を捧げます。そして、怪奇と幻想を愛する人の上に、一年中ハッピーハロウィンが訪れますように。

(小林義和/カフェギャラリー幻 代表)